転がるようにして家の中に飛び込んだ二人は、共に、上から下までぐっしょりと濡れていた。
「ルン、すぐに着替えないと。あっ、でもまずはタオルで拭いて。いや、いっそ熱めのシャワーを浴びてきたほうがいいかな……」
考え込んでいるトーマの脇をすり抜けて、ルウンはタオルを取りに行く。
一枚をトーマに渡して、もう一枚は広げて無造作に頭に被せると、そのまま両手でわしわしと豪快に拭いていく。
「……ねえルン、もう少し丁寧に拭いたほうがいいんじゃないかな」
ルウンがタオルを外すと、ぼさっと乱れた髪の先から雫が滴り落ちる。
それをトーマに見咎められ、ルウンは仕方なくもう一度タオルを頭から被った。
「やっぱり、シャワーを浴びてきたほうがいいんじゃない?体、冷えたでしょ」
「トウマも、同じ」
「僕?僕はほら、慣れているから」
ふるふると首を横に振ったルウンは、シャワーでも着替えでもなく、真っ先にキッチンへと向かう。
「ルン、せめて先に着替えたほうが」



