部屋に戻ると顔に白い布を掛けられたお祖母ちゃんが横たわっていた。


―――ああ、いなくなっちゃったんだな、と、ぼんやりする頭でそんなことを思う。


「……ばあちゃん、…もう起きないの??」


枕元に正座して、布を静かにはぐると、呟くように。


こうしていつか、みんないなくなるんだな…。


妙に胸が締め付けられた。


「だからって、あれはないよ。ばあちゃん」


結婚はおろか、彼氏だっていないのに。できたことないのに。
学校の男子なんてお子さまで悪ガキで。


先輩はいるけど部活にも入らなかったし。そんな心ときめく出会いとかそうそうあるわけじゃない。


少女漫画やドラマくらいのもんですよ。


一目惚れとか??
壁ドンとか??
キャ~先輩ステキ!!とか……。


むなしい。
青春てなんですか。
妄想を主食にしちゃあダメなんですか??


ハッと我に返ってぶるぶるぶるっと首を振る。


いやいかんいかん。
またネガティブ思考の幕開けだ。