少しだけ。


「はぁ、見終わった。

ん?真ちゃんどうかした?」


「あっ、いや、何でも…」


見とれてましたなんて、

言えるわけがない。


こぶし一個分の距離感は、

私の気持ちをもどかしくさせる。


何か。


別の話をしないと。


「そういえば、

明さんは渚くんに何話してたんですか?」


この鼓動を沈めさせるために

ふった話題だったのに。


「んー。俺はね」