少しだけ。


「渚、辛いもの好きだったでしょ」


「はい。2人でチャレンジしましたよ。

激辛のお店。

食べきれませんでしたけど」


「やっぱり食べたんだ。

辛い物は体に悪いからって、

母さんに止められててさ。

俺が食べるのを子犬のように見てきて」


「あ、想像できますね。

だから食べる前少し間があったんだ。

行かせちゃいけませんでしたね」


「ううん。

渚は少しくらい羽目を外した方が

楽しかったんだよ。

あいつの人生は、

あいつしか生きれないから」


明さんの横顔は、

優しいお兄さんの表情をしていた。


渚くんに似てはいるけど、

やっぱり違うんだよな。