「ただいま」


「おかえり」


「真ちゃん。渚の彼女の」


「お邪魔します…」


渚くんのお母さんは何も言わなかった。


それもそれでアクションに困る。


足が動かなくて、

靴も脱げなかった。


本当に上がっていいのだろうか…


「あ、あの…!」


「ごめんなさいね…」


消えるような声だった。


けど確かに聞こえた。


「あの時はいろんなことが重なって。

混乱していたの」