“お線香、あげに来る?”


「え?」


沈黙が続く。


渚くんが亡くなって、

すぐにでもあげに行きたかった。


けれど、あんなこと言われた後で、

メンタルが弱い私は行けるはずもなくて、

それに渚くんの家も知らなかった。


私、一回も遊びに行ったことなかったんだ。


“俺が連れてってあげる。


守ってあげるから”


その声が優しくて、

今まで押し殺してきたものを、

簡単にほどいてしまう。自然と涙がこぼれていた。


「よろしくお願いします」


それだけ言って、すぐにベッドに向かった。