「何してんの?」
後ろからいきなり聞こえてきた声。
同時に、首に回された男の腕がそこからなくなり、肩が軽くなった。
「なッ、誰だよ、お前‼︎」
さっきまで私の首に回されていた腕は、後ろから現れた男の人に掴まれ、剥ぎ取られたようだ。
未だ腕を掴まれている男は苛立ちながら、相手を尋ねた。
「その子のツレ。
とりあえず、その子の腕、
今すぐ離せよ。」
なんでもない、というようにサラッと答える男の人。
だが、その声は私の周りにいる男達相手では想像できないような恐怖を感じるほど低く、殺気の混じったものだった。
そんな殺気を感じたのか、私の手首を掴んでいた男はスッと私を解放した。
「くそッ!行くぞ、お前ら。」
リーダーと思われる男の一声で、男達はぞろぞろと去って行った。
現れた男の人に腕を掴まれていた男は、相手の腕を振り払った後、他の仲間を追って行った。

