「園田ーー‼︎」

大声で私の名前を呼び、こっちに手を振っている彼。

「ごめん、幸くん!
待った?」

「いや、俺も数分前に来た。」

「そっか。良かった!」




夏休み、私達2人は毎日のようにあの場所、あの時間に集まる。

『〇〇駅の東口に13:00』



そして、買い物へ、、、






ではなく、図書館へ。



さすがに受験生だから、毎日買い物なんて時間もお金もない訳で、、、。

幸くんは勉強をし、私も勉強をする。

、、、ものの、私もそこまで馬鹿じゃないはずなんだけどな〜

「ゆ、幸くん。またいい?」

「ん?どこ?」

「、、、ここ。」

「ああ〜、これ。
これ、コツ掴んだら簡単だって。
ここでこれ解いて、次にこれを解く。
そんで、こう解いて。

ホイ、解けた。」

「あ、そうなるんだ!
えーーっと、、、
あ、私ここで間違えてる。」

「あ〜、これをここで解いたらここの答えが
全く違うものになる。
例えば、、、」

こんなやりとりが1日に何度もある。

最高で1日に11回‼︎

13:00〜18:00の間に11回だよ‼︎

しかも、幸くんは例題まで出してくれるほど丁寧にゆっくりと教えてくれて。

もうなんだか申し訳ない、、、。

有り難いのは有り難いよ!

分かりやすすぎるし。

でも、その分幸くんは大丈夫なのか心配になるため、私は時々尋ねる。

「幸くん、教えてもらってて言うのは悪いん
だけど、幸くんの勉強は大丈夫?
私、邪魔になってない?」

彼はなんともないといった顔で、

「大丈夫大丈夫!ほら。」

そう言って彼は問題を解き終えた自分のノートを私の目の前に突き出してきた。

(うぅ、丸ばっかり、、、(涙))

いらない心配だった。

「俺のことは気にしなくていい。
園田の見てたり、説明したりしてると俺に
とっても復習になって、助かってる。
だから、園田は全然邪魔じゃねぇから、心
配とかしなくていいよ。」

本心なのかただのフォローなのかわからないことを優しく言って(くれて)いる。



こんな日課が、今年の私達の夏休みとなった。