ーーー。


「はい、到着。」

そこは、ショッピングモールから歩いて10分程の所で、駅からもさほど遠くない場所だった。

「わぁ、、、きれ〜い。」

小さな公園の中にある小さな噴水。

噴水自体をあまり見ることもない私は、その美しさに感動して、気づけば言葉をこぼしていた。

「いいだろ?
特に今の時間は天気がいいと夕日が差し込
んできて、俺にはクリスタルみたいで神秘
的な光景に見えるんだ。」

「ほんとだね。
すごくきれい、、、。」



しばらくの間、私達2人はその光景をただ眺めていた。



「なあ、園田。」

「ん?」

「、、、好きだよ。」

「、、、、、え?」

呼ばれても噴水に視線を向けていた私は、幸くんの突然の言葉が理解できず、遅れて幸くんを見た。

でも、幸くんはずっと噴水を見ていた。

「俺、中学の時から、園田のこと好きだった
よ。」

(うそ、、、、、。)

「なんで?」

そう尋ねると、幸くんはやっと私に顔を向けた。

だけど、またすぐに視線をそらして、少し離れた地面の一点を見ているようだった。

「なんでも全力なところとか、すっげー友達
思いのとことか、いっつも笑ってるとこと
か、、、。
結構見てたんだ。
俺とは全然違うなって思って。」

「違う、、、?」

「周りからどう見られてたのかは知らねぇん
だけど、俺すっごい面倒くさがりでさ。
だから、やること全部に全力になれたり、
友達のことしっかり見てて良い関係作れた
り、ずっと笑ってたり。
そんなお前のこと、すごいなって、そう思
ってた。
そんでもって、羨ましかった。
そういう事考えてたら、いつの間にか、園
田のことずっと見てるようになって、惹か
れてた。
でも、俺は声なんかかける勇気もなくて、
結局そのまま中学卒業して。」

「、、、、、。」

「やっぱり、一言でも喋っときゃ良かったっ
て、後悔した時もあった。
そんな時、園田が不良に絡まれてて、、。
チャンスだ、って思った。
もちろん、園田が絡まれてた事自体は全然
良い事じゃないんだけど。」

「、、、、、、、、、、。」

「買い物に誘ったのも、また会うための口実
で、その日に告っちまおうかと思ったけど
、いきなりだったら困るだろうし、もしそ
こで終わったら、、、もう会えないと思っ
た。
これからも会いたいと思ったから、そのと
きは何も言わなかったんだけど、まさか2年
もここを離れることになるとは思わなかっ
た。」

私はただただ幸くんの、彼の言葉を聞くことしか出来ずにいた。

「園田。」

彼に名前を呼ばれて、話を聞いているうちに下を向いた顔を上げ、私は彼の目を見た。

彼も私の目を見ていたため、目が合うことになり、2人の間に妙に緊張感のある空気が流れた。



「もし、お前に彼氏とかいなくて、俺でも良
いなら、、、


俺と、付き合って下さい。」



初めての告白。

それが、今目の前にいる人からのモノ。

今までモヤがかかっていた気持ちがわかった気がした。

そんな私は、考えるより先に口を開いた。

「私も、幸くんが好きです。」

「‼︎
じゃあ、、、。」

「よろしくお願いします。」

私は頭を下げて言った。



帰る時、公園の出口で噴水を振り返り見ると、まだ周りはうっすらと明るいのに、夕日の綺麗なオレンジ色の光は噴水に届いていなかった。

まるで、舞台を華やかにする役目は終わったように、静かに水を噴き上げていた。