小さな公園に着いた。

あの時の公園だ。



彼はベンチの前まで来ると、そこに座った。

そして、私の手首を引っ張って、隣に座らせた。

このベンチも、あの時私が座ったベンチ。


(本当に、あの日の再現みたい。懐かしい。)


そんな呑気な事を考えていた。
















「あの日、じいちゃんが死んだんだ。」

「え、、、。」

公園に来て少しの間があいた後、突然彼の口から出てきた言葉は、全くいいものではなかった。

「小さい頃から、俺すっげーよくしてもらっ
てたんだ。
そんなじいちゃんが死んで、、、。

その事知ったのが、園田との買い物から帰
った時だった。」

(あの時、声が暗いなって思ったのは、気のせ
いじゃなかったんだ。)

「ショックだった。
正直、魂抜けたみたいにぼーっとしてたん
だ。
そしたら、、、お前から電話がかかってき
た。」

(え⁉︎私⁉︎)

「携帯に表示される名前見ずに応答ボタン押
しちまってさ。
相手がお前だって分かった時はマジでビビ
った。」

(あの時の、、、)

「ごめん。私、何も知らなくて、、、。
とんでもない時に電話しちゃったんだ。」

(しかも私、メッチャ浮かれてたし。)

「全然気にすんなよ。
知らなくて当たり前なんだし。」

「そうかもしれないけど、、、。」

(私、、、、最低だ。)

「幸くん、ごめ「あの時は俺、なんか救われ
たんだ。」

(え?)

「なんでだかよく分かんねぇけど、園田の声
聞いたら、なんか落ち着いてさ。


だから、すっげー助かった。

ありがとう。」

(私、何もしてないのに、、、。)

彼は「ありがとう」と言った時の顔から一変して、悲しそうな顔でこう言った。



「泣くなよ、、、。」



(え、、、?)



彼に言われて初めて気づいた。



(私、泣いてる、、、。)


「園田は、なんも悪くねぇし、傷つく必要も
ねぇ。
だから、泣くな。」


そう言われても、私の涙は止まってくれず、さらに涙が溢れた。




彼が悲しそうな顔をしたのは、あの日のことを思い出したからなのか、私が泣いているからなのかは分からなかったが、泣き続ける私を見て、呆れたような、嬉しそうな笑みを浮かべた。





買ったアイスは、いつの間にか溶けてしまっていた。