「帰って」

由紀恵はそう言って背中を見せると、カードキーでドアを開けた。

「待って、話だけでも聞いて！」

中へ入ろうとしたら、高子が腕をつかんで引き止めてきた。

「話って何よ？

私はあなたと話すことなんてないわ」

由紀恵はつかんでいる腕を払うと、中へと足を踏み入れた。

「お願い！」

高子は家の中へと入ってきた。

バタンと、ドアが閉まった。

「何なのよ、一体！

今さら何を話すって言うのよ！」

由紀恵は我慢ができなくなって、高子に向かって怒鳴った。

「中学時代のことを謝りにきたの…」

高子は呟くように言った。

「由紀恵を裏切って浜島側についていじめたことをずっと謝りたかった。

だから興信所で住所を調べて、同窓会のお知らせを送ったの」

続けて、高子が言った。