「ごめんなさい、これで失礼します…」

愛香は頭を下げると、早足でリビングから立ち去った。

「愛香!」

各務原が後を追ってきた。

玄関で靴を履いていたら、
「琴子も悪気があって言った訳じゃないんだよ。

あいつ、昔から悪いことは許さないって言うタイプでさ」

各務原が話しかけてきた。

「後で琴子に謝るように俺から言っておくから」

「さよなら」

愛香は玄関を飛び出した。

胸が痛くて、苦しかった…。

マキヨと一緒に選んだ服を着て、手土産を持ってお邪魔したと言うのに、合コンよりも後味が悪い結果になってしまった。

(もう終わりだ…。

もうおしまいだ…)

そう思ったとたんに、愛香の目から涙がこぼれ落ちた。

愛香は泣きながら、足を動かした。