スターバックスで愛香と別れると、
「あー、ヒヤヒヤした…」

澄香は胸に手を当てた。

「春田さんが余計なことを言うから、どうしようかと思っちゃいましたよ…」

小夜子が同意をするように言った。

「春田さん、今日は何とかなったからよかったですけど今後…って、ダメですね」

小夜子がマキヨに注意をしようとしたら、当の本人はヘッドホンで耳を塞いでいた。

「社長は何で彼女を入社させたのかしら…?」

マキヨの様子に、澄香はやれやれと呆れたと言うように息を吐いた。


その頃、愛香は駅へと向かっていた。

(今日はとても楽しかったな。

本当に友達がいたら、こんな感じなのかな)

そう思ったとたん、愛香の胸にある思いが込みあげた。

(もう少しだけ友達気分を体験してもいいかな?

こんな気分は今まで体験したことがなかったし、結婚しちゃったら機会もないだろうし)

愛香はそう思いながら駅の切符売場へと足を向かわせた。