「我が社はどこでお知りになりましたか?」

「…えっと、ネットで存在を知りました。

たまたま検索していたら広告で宣伝されていたので…」

背中に冷や汗が流れているのを愛香は感じた。

(ああ、もう嫌だ…。

早く帰りたい…)

頭の中が真っ白になって心が折れてしまいそうだ。

「どうして我が社をご利用になろうと思いましたか?」

由紀恵が聞いてきたので、愛香は少しだけ深呼吸をした。

「…私、結婚を前提につきあっている恋人がいるんです」

震えそうになる唇を動かして、音を発した。

「その恋人に自分の友達を紹介されて、彼から“友達を見たいから紹介して欲しい”と言われました。

でも…私、25年間の人生の中で友達が1度もいたことがないんです」

そこで言葉を区切ると、愛香は深呼吸をした。