小夜子がついたところは白い壁が特徴的な2階建て一軒家だった。

表札に“武井”と言う名前が書いてあるのを確認すると、小夜子はインターホンを押した。

ガチャッとドアが開いてそこから出てきたのは、1人の少女――みち子だった。

「武井みち子(タケイミチコ)さん、ですね?」

小夜子がそう聞くと、
「はい…」

みち子は呟くように返事をして、首を縦に振ってうなずいた。

両親は共働き、彼女の2つ下の弟は部活で学校に行っていると言うことなので、小夜子はみち子の家に足を踏み入れた。

リビングに通されると、
「どうぞ」

みち子はテーブルのうえに麦茶を置いた。

「ありがとうございます」

小夜子がお礼を言ったことを確認すると、みち子は彼女の向かい側の椅子に腰を下ろした。

「あの…先日の花火大会で、綾美と一緒にいた人ですよね?」

小夜子の顔を見たみち子はそう質問をした。

「はい、そうです。

初めまして、人材派遣会社『ハッピーライフ』のスタッフとして働いています光浦小夜子と申します」

小夜子は首を縦に振って返事をすると、自己紹介をした。