「ここ!」
歩いて五分ほど経った時、孝くんが立ち止まったのは
このあたりだと多分一番大きそうなおみやげ屋さんだった。
「ここね、コスプレさせてくれるんだって」
「コスプレ?」
「うん」
店の中に目をやると、
確かに古代の衣装
――七夕の織姫・彦星や聖徳太子のような、あるいは韓国の時代劇に出てくるような――
を身にまとった人たちが写真を撮ったりしていた。
「一緒に写真撮りたいな。ダメ?」
孝くんは私の返事がどう転ぶかわからなくて少しだけ不安そう。
「ううん、いいよ」
私は首を縦の振った。
だって、君のそんなカオを見たらイヤだなんて言えないよ。
「やったね~」
繋いでいないほうの左手をガッツポーズ。
そんなに嬉しそうにしないで。
なんて言えない。
当たり前だけど。
私と孝くんは手を繋いだまま、店内に入った。
孝くんは鼻唄混じり。
私はうつむきがち。

