暗い暗い真っ暗闇。
なんにも見えない。


『美姫』

声のほうを振り返ると、
そこだけまるでスポットライトが当たったように明るくなる。

姫!

姫はとっても穏やかな笑顔で私を見ていた。
とてもとても穏やかな。まるでお釈迦サマのような。


『美姫ありがとう。私たちのために』

え?

『伯父さまの妻になるといってくれて』

でも、私は帝のところから逃げ出しました!

『いいのよ。
 お兄さまも言っていたでしょ、
 私たちは他の場所で生きていくなんて出来ないの』

姫が哀しそうに笑った。

………。

『美姫たちは私たちの分まで幸せになって頂戴。
 あなたたちは絶対に幸せになれるから』

 ありがとうございます。

姫が満足そうにうなずくと、スッと私の目の前から消えた。

姫!!


また、世界が真っ暗になった。