「……はい」
「すまんな、何も知らず。
いつかはお前を怒った」
声には悔しさや悲しさがにじんでいた。
「いいんです、皇子は悪くありません」
「……伯父上も、どうやら一枚噛んでいる」
え?
今度は、皇子のカオに怒りのようなものが見える。
「俺が智を解放して美姫を智の処へ連れて行こうとしている事は
恐らくはもう二人の耳にも入っているだろう。
……急ぐぞ」
「はい」
皇子は周りを常にうかがいながら歩き、
私は皇子の足手まといにならないように必死についていく。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…