外に出て、皇子は周りを警戒しながら早歩き。

私もそれに置いていかれないように必死についていく。


「母上の仕業だったんだな」

ボソリ。
小声で言う。

ななめ後ろから見える皇子の表情が少しだけ見えて、
そこにはいつもの自信満々で傲慢な人はいない。

きっと生まれながら母子というよりは国を支える主従関係だったと思う。

だけど、皇子は心のどこかで母親として愛していたんだろうと思う。
その人のやったことに戸惑いを隠せなくて当然かもしれない。

そして、その母親によって自分の想いは引き裂かれようとしている。

そして、私と智にもそれが反映してる。

自分の母親がそんなことをしたと知って平気なワケがない。


私は自分に置き換えた。

お母さんはどんなことがあっても私と智のことを考えてくれていた。

恋人・藤原さんとのことよりも私たちのことを優先してくれてる。

時代が違う、立場が違う。

だけど、やっぱり母親がそんな人だったらつらいのはいつの時代もきっと同じ。