皇子に孝徳天皇にお嫁に行かせてもらうように頼んでから七日が経った。
あの日から皇子は姿を見せていない。
いつもだったら姫もそんな皇子に対してかわいい不満を口にするんだけど。
私のことがあるからだと思う、
姫はひとことも皇子のことを話題に出そうとはしなかった。
そんな気遣いがよけいに苦しくて、
でも、自分から皇子についてなにか言ってしまえば本音をもらしてしまいそうで。
私もなにもいえなかった。
お互い一緒にいると息がつまりそうになるから、
私は極力自分の部屋にこもるようになった。
もちろん、独りでいると悪いことばかり最悪のことばかり考えてしまうから、
それを察してくれているのか、秋保さんがいつもそばにいてくれていた。
この世界にきた時よりももっと強く、
「どうかこれが全部夢でありますように」
と願いながら床に就いても
目が醒めれば、この世界にとどまったままの私がいる。
神さま、どうか私をもとの世界に戻してください。
もうなにも望みません。
智の無事だけを願っています。
智との家庭を築くだなんてそんなことワガママだってもう痛いほど自覚しました。
どうか神さま。
智の無事を、
そして、もとの世界へ戻してください。

