「美姫さま」

部屋に入ると秋保さんがそっと寄り添ってくれる。

「ねぇ秋保さん」

「はい」

「私が帝のところにいったら、一緒に来てもらえるの?」

私の問いに、
秋保さんは哀しみと嬉しさが混じったような笑みを浮かべる。

「どうでしょうか。
 ただ、私は美姫さまに一生ついていく所存でございます。
 ですので、同行させていただけるよう姫さまにお願いするつもりです」

きっぱりと言い切る秋保さん。

彼女の心意気が嬉しくて涙が出そうになる。

「ありがとう。秋保さんがいてくれたら心強いな」

「おこがましいかもしれませんが、
 私は美姫さまの心の支えになれたらと思っております」

もうダメ。
涙があふれてとまらない。

秋保さんがそっと背中に手を当ててなでてくれる。
あったかいな。

私は彼女の胸に飛び込んだ。