夜が更けて、皇子と智がやってきた。
皇子は皇極天皇になにか言われたのかもしれない。
珍しく神妙な面持ち。
「お兄さま……」
姫は皇子の顔を見ると安心したのか、それとも私と同じようなことを感じたのからなのか、
ボロボロと涙をこぼす。
「お兄さま、ひどく疲れたご様子。
……お母さまに何て言われたの?」
「姫は何を言われたのか?」
皇子は今日の話をきかされていなかったのか、ひどく驚いている。
「……お兄さまの足手まといになっていると」
「足手まといになどなっておらんっ」
「でも、私が慕っているからお兄さまは帝になっていないし、
国の民のためにもならないとおっしゃっていたわ!」
「そんな事など関係ない!断じて」
皇子は姫を抱き寄せて、そのまま唇を奪った。
私と智はそれ以上他人の情事を見る気にはなれず、私の部屋へ。

