「いやよっ!」

「姫!そこをどうかお願いいたします!」

どうしたんだろう?

部屋から姫のところへ向かっていると、姫と男性の言い争うような声が聞こえてきた。


「どうか姫、お願いですっ!」

庭先にいた男の人がペコペコと頭を下げて懇願してる。

「だから、嫌だと言っているじゃありませんか!」

姫はやっぱり育ちがよいせいか比較的温厚。

だから、こんなにも声を上げて感情をあらわにするのを見るのは初めてかもしれない。