順「香月?どうかしたんすか?」
確かこいつが久山順太郎か。さっきの自己紹介、香月のことでいっぱいで頭に入ってこなかったけど…
香「な、なんでもない…。俺もねぇ…じゃなくて美月送ってそのまま帰るから」
香月、今姉ちゃんって言おうとしてただろ!
修「わかった」
私と香月は手を振られながら倉庫をでた。
美「あれ?バイクなんだぁ」
香「うん。後ろ乗って」
私は手慣れた動きで香月の後ろに座り、腰に手を添える。
美「…」
なかなか動かないので私は首をかしげた。
香「…姉ちゃん…」
あぁ…そうか…。
私はギュッと香月を後ろから抱きしめた。
美「お姉ちゃんは側にいるから」
辛かっただろう。寂しがり屋の香月が私と離れるだけじゃない。家族がばらばらになったから。苦しかったんだね…。
ごめんね。気づかなくて…
香月は少し肩をビクッと揺らして、少しずつバイクの速度をあげていった。まるで、その涙を乾かすかのように…。

