折角、人が感動してたのに…。
「…痛っ」
私は隣を歩く兄の左腕を思い切り殴った。
「あ、ついでにこっちもいい?」
会計を終わらせた後、私は兄に腕を掴まれ引っ張られた。
「え?お兄ちゃん…いつの間に女の子の服に興味あったの?」
兄に引っ張られてきたところは、私が時々服を買う店だった。
「違うから。今から夏に入るし、好きな服選んでいいよ」
「え?急に何?怖いんだけど。今日、私の誕生日じゃない」
「梢の誕生日じゃないこと知ってる。」
え?じゃあいきなりどうしたの?
今まで買ってくるっていったらケーキとかプリンとか…甘い物ばっかりだったじゃん。
いきなり何?本当に怖い。
「梢は可愛い」
…うわ…。
よくそんな恥ずかしいこと言えたね。
周りには冷ややかな目で見られる。
「ので、頼むからもう少しだけ服のレパートリー増やそうよ」
あ、なるほど。


