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2人で来たのは大型ショッピングセンター。
車で30分ぐらいの所にある。日曜ななだけあって家族連れやカップルが多い。



「ここ入っていい?」



大型なだけあって、色々なお店が入っている。雑貨や服だけでなく、スポーツ店も。




「え?いいけど、この前スパイク買ってなかった?」



私の兄はサッカーを幼い頃からしている。
1ヶ月前、新しい型が出たからといって、買ってきたばかりだ。



「スパイクじゃなくて、練習着。この前、スパイク買ったから買えなくて」



兄は新作が出てるからと付け足した。
本当に新しい物が好きだな。よく、それでお金がもつね。



「何色がいい?」
「………」



わからないし。
しかも、私が着るわけじゃないから。



「どっち?」



今の兄は、買い物に来て彼氏にどちらの服がいいか聞く彼女みたい。
ちなみに、私が彼氏役。



「私は黒が好き。でも、お兄ちゃん黒3着あるでしょ?」
「てことは赤がいいってこと?」



まぁ、そういうことだね。私はコクリと頷く。
これで納得してくれたらいいんだけど、しないのが兄。
赤と黒を見てはうーんと唸っている。
すると、もう1着白を出してきた。



「これは?」
「却下。お兄ちゃんよく汚すでしょ?お母さん洗濯が大変って文句言ってたよ」



白い服で汚してきた時の母の小言はすごいうるさいから巻き込まれたくない。

兄は白を戻し、もう1度悩んでから私が選択した赤を選んだ。



「赤でいいの?2着買ったら?」



黒を戻す時の兄の少し残念そうな顔を見て、私は心が痛んだ。



「いいわ。梢が選んでくれたヤツにする。2人で買い物なんて滅多に来ないし」



兄の言葉にウルウルと涙が出そうになった。
確かに2人で出かけることなんてないな…。兄は大学とサッカーで忙しそうだし。




「あと、単純に金が無い。」