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「席座れ。HR始めるぞ」


午後2時あたり、担任の大きな声がクラスに響き渡る。



「今日は、今度の学年親睦会についてだけど」



私たちの学校には、学年で仲を深めようの為に学年親睦会があり、山で2泊3日寝泊りを行う。



「4人1班。男女は問わない。決まったら黒板に書きに来い」


パンと先生が手を叩いたのを合図にみんながゾロゾロと動き出す。



「ゆっちゃん、一緒に組も」
「いいよ。今、梢の所に行こうと思ってた」


HRなだけって教室は動物園みたいに騒がしい。



「星汰っ一緒になろ」
「え?あ……」
「私たちとなろうよ」



“男女問わない”
このクラスにこの言葉は禁句だ。
人気者の鳥羽くんに女子たちが、朝と同様に群がる。



「あーまたやってる。てか、あと2人どうする?女子は…厳しいか」
「んーそうだね」


鳥羽くんとなりたいグループと、もう既に出来上がってるグループがある。
私たち2人は少し、出遅れてしまった。



「空いてるのか?」
「うわっ。びっくりした」



後ろから静かに現れたのは、サッカー部の椿 陽輔。
私と陽くんは中学のときに塾が一緒だった為、一応知り合いではある。



「今、2人?」
「あーそう。誰と組もうか迷ってる」
「じゃあ、入れてくれ」
「椿を?えー」



ゆっちゃんが迷うのわかる気がする。
陽くんが来たら、ついでにプラスされるんだよね。



「陽輔っ。俺も入れて」



ほら来た。
なんとか女子の群れから脱出してきた鳥羽くんは疲れている。



「ヤダっ。鳥羽はヤダ」
「何で?入れてよ天城」
「だって、鳥羽入れると女子が面倒臭いんだもん」
「俺が一番自覚してます」



ゆっちゃんがバッサリ言い切ると、鳥羽くんは私たちにしか聞こえない声でボソリと呟く。