考え事を始めてから結構歩いてた。
その間、鳥羽くん静かに黙ってた。
私が考え事してるの気づいたのかな。



「ごめん、会話止めちゃって」



ピッとPiTaPaを通し改札を抜け、鳥羽くんに謝る。



「全然っ。寧ろ俺から話しかけたし気にしないで」
「いや、本当に……。私、よくボーッとして考え込んじゃうくせがあって。驚かされたにせよ、折角鳥羽くんと話すチャンスがあったのに」



あわよくば仲良くなれるチャンスだったのに。
私、自らチャンスをドブに捨ててしまった。



「俺、まだ月岡さんと仲良くなれてなかったの?」
「あ、いやそうじゃないっ。今度の班で私だけサッカー部じゃないから、少しでも鳥羽くんの事知っておこうかと」
「確かにそうだね」



タイミングよく電車が来て、うんうんと頷きながら乗る。



「俺も月岡さんの事少ししか知らない」
「私は鳥羽くんが人気者って事しか知らない」



帰宅時なだけあり、電車はギュウギュウ詰めでおしくらまんじゅう状態。
後から乗った為、扉の方に押される。

だけど……。

鳥羽くんが私のために少しだけスペースを作ってくれる。だから、そこまで苦じゃない。

あ、あともう一つ知った。
優しいってところだ。