身長が高くて、足も長い鳥羽くん。
それに加えてサッカーをしてるから体力があって、私の早歩きなんかもろともしない。
すぐに追いつく。



「うん、まぁ。昔から見てるから」



そっかそっかーとうんうん頷く鳥羽くん。
その横を同級生が通っていき、鳥羽くんに挨拶をして行く。それに応えるように“おう”と返す鳥羽くんを見て、凄いなって思うけど、私は隣では歩きたくないんだけどなと思う。

こんなの女子に見られたら終わりだ。

…班が同じになった時点で終わりなんだけど。



「じゃあ星座は詳しい?」
「いや、全然。ほんの少しだけだよ」



ネットで漁ったのと、小中と理科の授業で習った知識しか無い。



「俺、獅子座なんだけど」
「うん」
「いつ見える?」



そうきたか。
私の知識もそこまであるわけじゃ無いからな。



「多分だけど、5月上旬」



小学校の時に調べたことを頑張って引っ張り出す。



「5月上旬ってことはもうすぐか」
「そうだね。あ、真南に見えるのは午後8時の時らしいよ」



と横を見ると、すごく目が合った。



「ごめん、難しかった?」
「あー違う違う。すごいなって」



鳥羽くんはニッと笑った。
………。

『八方美人』なんかじゃない。全然。
この人は誰にでもこうなんだ。愛想はみんなにいいんだ。
さっきの挨拶をも、女子への対応も、今の私への笑顔も。
今思えば、先生の手伝いとか普通にスっとやるし、困ってる人がいたらすぐに助けに行ってた。
誰も見てないとこでも笑顔だった。

だからかな。鳥羽くんには自然と目が移動しちゃってたんだよな。



「どうかした?もう改札着いたよ」