「波留?」




そっと声をかけてみる。


返事がない。


そっとドアを開ける。




カーテンが開いていて窓から射し込む夕陽で部屋はオレンジ色に染まっていた。



「波留?」



オレンジ色のベットの上に波留人が横たわっている。



寝てる?



ヘッドホンしてる…音楽聞いてるのかな?





静かに近づく。





「…波留。寝てるの?」




ドキドキ…


鼓動がうるさい…


静かに。


起きませんように。




「…波留?」



漸くベットまでたどり着いて波留人の顔を覗き込む。


綺麗な長いまつ毛が濡れていた。



泣いてたの?


ごめんね。



波留人が安達の事そんなに嫌いだって知らなかったんだよ。






「…本当にごめんね」


寝てるし、聞こえないよね?




「いつも意地悪ばかり言ってごめんね」



素直な気持ちがスラスラ出てくる。




「オシャレだって、勉強だって頑張ってきたのは波留の為だよ?」



どうか神様。もう少しだけ波留人を起こさないで下さい。




「波留に…誉められたかったから。波留に……私のこと好きになってもらいたかったからだよ」




今なら 言える。







「好きだよ。波留」






初めて会った時から私はあなたに囚われてる―