「これは、鏡…?なんて…きれいなの」


「レイン!もっと愛想よくできないのか!」
「お父様!もう、うんざりだわ!私には社交界なんてものは合わないのよ!」
広大な屋敷の一角で大声で喧嘩しているのはカースト侯爵と長女レイン
カースト家は由緒のある家系で王家とのつながりも強い。そのため、侯爵はより王家との関係を近づけるため今日のパーティで娘を王子と恋仲にさせる予定だった……が
「お前は王子に笑顔ひとつ見せないで冷たくして…この礼儀知らずが!私の顔に泥をぬってくれたものだ」
「あら、まるで、私がすべて悪いみたいな言い方ね!勝手に嫌がる私をつれてきたのはお父様でしょ!」
「侯爵家の娘として生まれた以上よりよい身分の男に嫁ぐというのはお前の仕事だ」
「私は嫁ぐ気なんてさらさらないの!」
「まあまあ、父さん、姉さんそれぐらいにしなよ。」
嵐のような親子喧嘩を見かねたカースト家長男リズが止めにはいった。
「リズ、しかし、、、」
リズの仲裁に戸惑う父に対し
「リズいいとこに来たわ、このわからず屋になんとか言ってちょうだい」
「姉さん……」
レインは冷たく言い放つ。
「わからず屋はどっちだ!!!」
「父さんも……」
リズはあわてて二人をとめる。
そして、レインの方を見て
「姉さん。母さんがよんでる。」
「お母様が?」
レインがきょとんとする。
レイン達の母は病弱で部屋にこもりきりで滅多に子供に会わない。
「わかったわ。すぐ、行く。」
レインはそのまま、父の方も見ず部屋を出ていった。