一方この時、 武彦も同様に鑑別所の中で恐怖に怯え、 震えながら眠れぬ夜を過ごしていた。 武彦の意識は、 未だ仮想と現実の狭間にあったのだ。 井上には会わない方が良いと言われたが、 どうしても一度会って、 一言謝罪したいと思った武雄は、 翌日から美智代と共に被害者宅の住所を調べ、 一軒一軒頭を下げて回った。 だが当然た易いことではなく、 ある家では門前払いに遭い、 また別の家では、 遺族により激しく攻め立てられ、 罵られると言うものであった。