「まさかあのニュース、
武彦君のことだったのか?
一体何故こんな事になったんだ!」
この時井上の発する声は上ずっており、
その言葉づかい一つ一つからも、
驚きに満ちている事が窺える程であった。
「それが分からないんだ、
何故こんな事になったのか…
警察の話ではナイフで何人もの人を刺し、
暴れているところを警察により捕まったらしいんだ、
それと俺にもどう言う事なのか分からないんだが、
何か意味の分からない事を言っているらしい…
お願いだ!
息子を助けてくれ、頼む!」
悲痛な表情を浮かべながらの武雄の願いに、
井上はためらっていた。
それは自分が担当する事件に、
万が一家族や親しい友人が絡んでいた場合、
正しい判断が出来るか不安だった為である。
暫く考え込んだ井上だが、
彼自身友人を助けたいとの思いがあり、
遂に決断を下した。
「分かった…引き受けるよ。
出来る限り全力を尽くそう、
それより確かさっき、
武彦君が意味の分からない事を言っていると言ったな?
その事について詳しく調べたほうが良さそうだ!
これはあくまでも俺の勘にしか過ぎないが、
今の話を聞いた限りでは、
何か精神面に問題を抱えている気がしてならないんだ、
でなければ彼みたいな大人しい子が、
人の命を奪うことなど考えられない!」



