この日彼は、

ある小さな会社へ面接に来ていた。


幼い頃から彼は、

一流大学へ進学する事だけを目標にしていたが、

訳あって高校への進学さえも断念する事になってしまった。


その後彼は、

どうにかして高校の卒業資格だけは取る事が出来たのだが、

その時すでに二十歳を過ぎており、

仕方なく大学進学を諦め就職する事にした。


ところが就職先を探していた彼は、

大きな壁にぶち当たる事になる。


これまで数々の会社の面接を受けて来たが、

いずれも履歴書に記されている、

在る事を理由に落とされてきた。


彼はあの一件以来、

自分のしてしまった事を非常に後悔している。


あの事が無ければ、

今とはまったく違う生活を送っていたに違いない、

そう、八年前のあの事件さえ無ければ・・・