「…大丈夫?顔赤いよ」
ジッと見ていたことに気がついたのか目が合ってしまい、彼が声をかけた。
そりゃ心配もするはずだ。だって大丈夫じゃないもの。汗の量が尋常じゃない。これはそろそろヤバイかもしれない、熱中症というやつかもしれないそう思った時、隣で蓮水くんが立ち上がる気配がした。
「…冬香、冬香、大丈夫?立てる?」
そう言うと蓮水くんは私の腕をゆっくりと引き
優しくふらついている私の身体を支えながら歩き出した。
応援中、体調が悪くなった場合は球場の外の木陰が救護場になっていると事前に指導されたいのだ。
蓮水くんが私の事を下の名前で呼んだ…
暑さのせいで頭痛がしてグルグルと視界が回っているような気がして、全体重を彼に預けるようにして歩きながらも、そんな事を考えていた
確実に彼に多大なる迷惑をかけているというのに、私を支える蓮水くんの腕に男の子の力強さを感じてドキドキした
救護場の木陰には養護教諭が退屈そうに涼んでいたが、私たちの姿を見つけると慌てて駆け寄ってきた。
「おいおい、どうした咲坂」
蓮水くんの腕から養護教諭の腕にぐったりと身体をもたれかけた私に先生は少し呆れた声を出した。
なぜなら実は私、咲坂冬香は保健室の常連なのだ。そのため、保健室のイケメン先生こと高木先生とは仲良しだ。
高木先生は、またお前かと言いたげな顔をしながら蓮水に話しかけた


