いよいよ駅の改札が見えてきた。
どちらからともなく立ち止まる。

「あのさ、」
「あのね、」

俺たちはほぼ同時に声を発していて。
思わず顔を見合わせて笑った。


「言ってよ」

「そっちが先に言えよ」

彼女はうつむき、俺は横を向いた。


俺は小さく息を吐き、意を決して口を開く。

「俺たち、もう一度やり直せないか」

彼女の体がかすかに揺れた。