ーーーガチャ


ビクッ‼︎

玄関の扉が開いた音に肩を揺らす。

そして、今崎君達が私のために、と用意してくれた二階の部屋で、扉から1番遠い隅っこに行き、体を強張らせ、身を守るようにして小さくなった。

両手で両耳を塞ぎ、震えを止めるため、さらに体を強張らせた。

息が、荒くなってきた。



今崎「ただいま〜」

今崎君の声が聞こえた。

どうやら、今日1番に帰って来たのは、彼のようだ。

「お帰りなさい!」

そう言いたいのに、声が出ない。

今崎「住崎〜?
いないのか〜?」

階段を登り、少しずつ近づいて来る足音。


ーーードクンッ


鼓動も早くなっていく。

今崎「住崎〜?」

彼の足音が部屋の前で止まった。


ーーードクンッ、ドクンッ


ドアノブに手が置かれ、


ーーードクンッ、ドクンッ、ドクンッ


ガチャリと扉が開いた。


今崎「お、住崎。
部屋にいt、、、どうした、住崎ッ⁉︎」

顔色を変え、私の所に一直線で来た。

今崎「何、泣いてんだッ?」

(え?私、泣いてる?)

彼に言われるまで、自分が泣いてる事に気付かなかった。

今崎「どこか痛いのか?
それとも、何かあったのか?
息も上がってるし、こんな部屋の隅に
いるし。」

私の頰に流れる涙を指で優しく拭い、心配そうに聞いてくる制服姿の彼。

そんな彼の制服をゆっくりと、すがるように掴んだ。

そして、彼の硬い胸板に泣き顔が見られないように、下を向いて額を当てた。

今崎「住崎、、、?」

「ご、ごめん、、、。
大丈夫だ、からッ、、、。




でも、もう少し、このままでいさせて。」

今崎「、、、分かった。」

息を整えながら、静かに言った私に、彼も静かに答え、私の頭と背中に両手を置いた。

背中に置いた方の手は、子供をあやす様に背中を優しくさすってくれた。

頭に置いた方の手はとても大きく感じられ、私の頭を包み込んでるようだった。


守られている、そんな風に感じた。