そして、

最後に私の生活について。



私はあの家を出た。

1人暮らしを考えていたが、彼がうちに来るように言ってきた。

始めは断ったが、これも彼の押しに負けた。

結局は、彼の家に居候させてもらう事になった。

彼の両親に申し訳無いなと思っていたが、事情を知り、快く歓迎してくれた。


「本当にごめんなさい。
こんな事になってしまって、、、。」

食後のコーヒーを飲みながら、ゆっくりしようとする今崎君のご両親とお姉さん、お兄さんに妹さん、そして何より、今崎君に頭を下げた。



ちなみに、今崎君は4人兄弟で、3番目だということをここに居候させてもらうことが決まって、始めて知った。

(私、今崎君のこと、何も知らないな〜)

と、その時思った。



頭を下げた私に今崎家の皆は、

今崎(父)「事情が事情だったんですから。
仕方ない事ですよ、住崎さん。」

今崎(母)「そうですよ。
今まで辛かったでしょうね。
そんな堅くならずに、自分の家だと
思って生活してね〜。」

今崎(兄)「始めはビビったけどな、、、。」

今崎(姉)「本当にね〜。
でも、妹がもう1人できたみたいで
私、すごく嬉しいの!」

今崎(妹)「私もお姉ちゃんがもう1人できたみ
たいで嬉しいよ、千奈美お姉ちゃん
!」

「皆さん、、、。」

今崎「住崎、、、。」

「な、何?
私、何かしちゃった⁉︎」

今崎「した」

「何した⁉︎」

不安になりながら尋ねる。

すると、今崎は大きくため息をつき、

今崎「あのなぁ、お前ここに来て何日経つと
思ってんだよ。」

「え、10日、、、です。」

今崎「10日だぞ、10日!
いい加減に頭下げるのやめてくれ!
こっちが緊張しちまう‼︎」

「ご、ごめん、、、なさい。」

声のボリュームが落ちていった。

今崎「ああ〜、怒ってるわけじゃねぇから。
あと、敬語も使わなくていいから。」

ぶっきらぼうな言い方でも、しっかりと私の方を見て話してくれていたようで、下を向いていた頭を上げると、今崎君と目が合った。

「わ、わかりま、、、、、わかった。」

途中で気づき、間が開いた後に言い直すと、今崎家の全員が笑い出し、その場の緊迫した空気が一瞬にして和らいだ。

「わ、笑わないでください!

あ。」

(また敬語を使ってしまった、、、。)

今崎「別に、言い直したりとかはしなくてい
いぜ。
使っても気にしなくていい。
ただ、ずっと敬語だと苦しいだろ?」

「う、うん、、、。」

すると、今崎君の顔が私の顔に右側に近づいて来て、

今崎「あの日みたいに、自分の言いたい事は
普通に言ってくれたらいい。」

「///////////」

あの日とは、私が

今崎君に別れを告げた日であり、

今崎君に想いを伝えた日であり、

今崎君ともう一度付き合い始めた日のこと。


病室での私は、頭がしっかり回っていなかった。

だから、いつもの私とは違い、思っていたことが全て口から出てしまっていた。

さらには、自分から今崎君の首にあんな傷まみれの腕を回して顔を近づけるという、大胆な行動までしてしまったのだ。

(思い出すだけでも恥ずかしい、、、////)


今崎(姉)「おやおや、すでに2人の世界ですか
?」

ニヤけた顔で言ってくる今崎君のお姉さん。

「い、いえッ!
そういう訳じゃ、、、」


今崎(妹)「じゃあ、どういうの?
お兄ちゃんが何て言ったのか、気に
なるな〜」

今崎「お前にはまだ早いだろ。」

今崎(妹)「むっ、、、‼︎
私、もう14歳だよッ!」

今崎「“まだ”14歳だろ?」

今崎君が意地悪そうに笑いながら妹さんをからかう。

(私をフォローしてくれたのかな?)

それ以降は、私に質問して来る人はいなかった。


(今崎君と2人の時は、普通に喋れるのに、、
、。




喋れてる、よね、、、?)



私の不安は増すばかりだ。