「すんませ〜ん。
誰かいませんか〜?」

今すぐにでも部屋の扉を片っ端から開けて、住崎を確認したい衝動を抑え、声を張り上げた。


ーーーガチャ


玄関から1番遠い部屋の扉が開いた。

父親「なんだ、君達は⁉︎
いきなり入って来て‼︎
警察に通報されたいのか⁉︎」

住崎の父親と思われる男は、随分驚いた様子で俺の前まで足早に来た。

「すいません。
インターホンは2回鳴らしたんですけど、、
、。」

父親「だからって、勝手に人の家に入り込ん
で言い訳ないだろ‼︎
その制服は娘と同じ学校の子だな⁉︎
名前を言いなさい!
警察と、あと学校にも連絡するから‼︎
後ろの子もだ‼︎」

ゲッ、と勇の小さい声が聞こえた。

(勇は関係ねぇっつーの‼︎)

「 、、、俺は今崎 冬哉と言います。
今は、住崎 千奈美さんとお付き合いさせて
もらってます。
今日は訳あって、千奈美さんに会いに来ま
した。
それと、警察でも学校でも連絡は構いませ
んが、後ろの奴は何もしてないんで、許し
てやって下さい。」

一言一言ハッキリと言った。

特に、住崎と付き合ってるってとこをさりげな〜く強調して。

父親「、、、千奈美と付き合ってる?
そう言ったのか?」

「はい。」

確認を求める様な質問に対して、俺が答えると同時に、住崎の父親が俺の胸元を掴み上げてきた。

父親「千奈美の男だと⁉︎
男ができたなんて話は聞いたこともない
ぞ‼︎」

(抗議するとこそこかよ、、、。)

内心で呆れて鼻で笑いながら

「つい最近の事です。
俺から好意を持った(告白した)ので、俺の事
をよく知らない住崎さんは、父親であるあ
なたに心配かけない様に慎重になってるん
じゃないかと思います。」

と、咄嗟に思いついた嘘を棒読みの様に話した。

父親「そ、それなら余計に話してないのはお
かしいだろッ!」

(俺に言うなよ、、、。
俺は住崎じゃねぇぞ、、、。)

と、さらに呆れた。

「とにかく、住崎さんと話がしたくて、俺は
きました。
住崎さんはどこですか?」

ビクッ、と小さく肩が揺れた。

父親「わ、私は知らん!
娘はまだ帰ってきていないんだ!
いつ帰ってくるかもわからん!
だ、だから、帰ってくれ!」

手で俺達を追い払うような仕草をしてきているが、

(顔がちょっと引きっつてるぞ、オッサン、、
、。
視線も忙しそうだし、おまけに噛んでるし。

さっきまでは、警察やら学校やらに連絡するとかどうのこうのいってたくせに。














いるな。住崎は。)

確信した俺は、住崎の父親を押しのける様にして家に上がった。

「すみませんけど、住崎を探させてもらいま
す。」

父親「なッ⁉︎
娘はいないと言っているだろう‼︎
今すぐ出て行かないと、本当に警察を
呼ぶぞ‼︎」

「お好きにどうぞ〜」

受け流す様に答えた。

夏木「おい、冬哉!
俺にどうしろって言うんだよ‼︎」

上がってもいいのかどうかと迷っている様子の勇が聞いてきた。

俺は住崎の父親が出てきた部屋に向かいながら、

「悪いけど、好きにしてくんねぇか?
帰ってくれてもいいし、いてくれてもいい
し。」

夏木「お前なッ、、、!


ここまで来て帰るとか、ありえねぇだ
ろうが!」

そう言って俺の後に続いて、住崎の家に上がる。

俺はなんだか少し嬉しくて、ニカッと歯を見せ、目を少し細めた笑みを勇に返した。

父親「ま、待ちなさい‼︎」

慌てて俺達の前に来て、部屋への道を塞ごうとする。

それを俺たちはスルリと抜けるように避け、部屋の前に立つ。

俺がドアノブに手をかける。

父親「あ、開けるんじゃないッ‼︎」

(誰が言う事聞くかよ!)


ーーーガチャ