午後の授業は全部右から左だった。

住崎の最後に言った言葉が、頭の中でリピートしていたからだ。



帰り道、トボトボと歩いている途中、忘れ物をした事に気付き、学校に引き返した。

ゆっくりと階段を上り、いくつかの教室を通り過ぎ、自分の教室に向かった。

途中、1つの教室から女子達の話し声や笑い声が聞こえた。

女5「今崎君とあの女、別れたみたい!
今日の昼休みに見たって、クラスの友達
が言ってた!」

女4「やっと別れたんだ。
思ってたよりも遅かったけど、計画どお
りだったね〜。
今崎君には悪いけどさ〜、あんな女はや
めてほしいよ。」

女6「噂じゃぁ、あのキモ女、今崎君の事好き
だったんじゃないかってさ。
話があるからって、今崎君の教室に行っ
た事まであるらしいし。」

女5「あ!それ、本当らしいよ〜
クラスの友達が、昼休みに2人を見たと
きに、会話もちょっと聞いたらしいんだ
けど、あの女、今崎君に「好きでした」
って言ってたんだってー。」

女4「うわ〜、きっもーい!」

女6「最低〜‼︎」

女5「聞いてて、お前みたいな女、今崎君に釣
り合うかよって思った〜。」

女子達は言いたい放題言って、大笑いしていた。

俺は怒りに任せて、女子達のいる教室の扉を思いっきり開けた。


ーーーバンッ‼︎


女4「今崎君ッ⁉︎」

「今の話なんだよ、、、。」

女4「えっと、、、。」

女5「それは、、、、、。」

「何だって聞いてんだよッ!」

俺の声に反応して、女子達は肩をビクッと揺らした。

女4「い、今崎君があんな女と付き合うから、
、、。
だから、、、だから、あの女と別れるよ
うに、仕組んだの。」

女6「付き合ってても、話したり、一緒にいた
りする時間がなくなれば、あの女だって
別れたくなると思って、、、、



今崎君を、、、利用、したの。」

怒りが、頂点に達した。

「ふざけんなッ!
この1ヶ月、俺と住崎がどんな思いだったか
分かってんのか?
俺はあいつがいじめにあってるって、俺が
離れれば、あいつは助かるってお前らが言
ったから、

だから俺は住崎から離れた。

実際に、学校でのいじめは無くなった。
だけど、あいつが傷ついたり、苦しんでた
ら、俺が離れた意味なんてねぇんだよ!」

自分の思った事を遠慮なくぶつけていく。

「お前らがどういう理由で俺と住崎を別れさ
せたかったかは知らねぇけど、俺が誰と付
き合おうと、お前らには関係ねぇ。
2度と俺と住崎に近づくなッ‼︎

それと、住崎はお前らが思ってるほど弱い奴
じゃねぇ。
住崎は自分のためじゃなく、俺のために別れ
ようって言ったんだ。」

言いたい事を言い切って、俺は教室を出た。

そして、住崎の家を住崎の担任に教えてもらい、走る。


あいつに謝りたい。


この気持ちと自分のしたことへの後悔を抱え、住崎の所に向かって、とにかく、走る。