法廷でレイ君ら、ギル関係者の罪状が告げられた日の翌日。


私は、上司のガロア警部と共に、本部の最上階の部屋にいた。


目の前には、(いちお)タリズマンの一員となるモートンさん

そして、ロディの資料があった。



…今日、レイ君とルオン君は魔力を剥奪され

この二人は私たちの“仲間”になる。


何となく、複雑な気持ちだな…。



そんなことを考えながら、無言で資料に目を通していると

ガロア警部が真剣な声で私に声をかけた。



「ミラ。

今日から情報屋とともに任務に当たることとなるが、お前はいつも通りやればいい!心配するな。」


「ガロア警部……。」



私は、上司の気遣いの言葉に

つい、胸が打たれた。



…この人は、闇ヘッドハンティングなんて無謀でぶっ飛んだことをする人だけど

上司として、人望と実力がある人だ。


私とロディの過去を何となく察して

ロディが大怪我をした時に、私を研究所跡地まで行かせてくれた。


今まで敵対してきた人と、いきなり気持ちを切り替えて仲良くやっていくなんて…

しかも“元カレ”と同期になるなんて、いろいろ複雑で心の整理が出来てなかったけど…

ガロア警部の助言のお陰で、何とかやっていけそうな気になった。



…私、ガロア警部の下で働けてよかった…。



すると、その時。

ガロア警部がさらり、と爆弾発言をした。



「心配しなくても、タリズマンは職場恋愛禁止じゃないからな!

俺も見て見ぬフリをしてやる!安心しろ!」



「誰もそっちの心配はしてません…!」



前言撤回。


私は、ど直球の色ボケ上司より

さりげなく優しい人の下につきたかった!

心から!



…この会話を、扉の向こうで偶然にも聞いていたロディが、部屋に入るに入れなくなっていることに

私と色ボケ上司は全く気がついていなかったのです。