桜の季節、またふたりで

次に、カズにかけ直したら、


『もう、かかってこないかと思ってたよ』


弱々しい声だった。


『あの、ね、ふたりで会って話したいんだけど、いつがいいかな?』


『今度の日曜なら美春んちに行けるけど』


『わかった、待ってる』


『美春、五十嵐さんからなんか聞いてんの?』


『ケンカしてない、としか聞いてない』


『わかった、じゃあ日曜の昼すぎに行くから』


最後に、まどかへ電話した。


『ちょっと美春、急展開すぎてついていけないんだけど』


『私も、驚いてる』


『まさか東京で再会するなんてね。


そんな偶然、あるんだねー。


で、斉藤さんと別れて、五十嵐さんとやり直すの?』


『うん、でもさ、カズは私の誕生日にプロポーズしようとしてたみたいで、指輪もらっちゃったんだ』