桜の季節、またふたりで

仕方ないから、トボトボとファミレスへ向かった。


「いらっしゃいませー、何名様でしょうか?」


「えっと、あとから一人来ます」


「2名様ですね、こちらへどうぞ」


窓際のボックス席へ案内された。


竣くんは、ちゃんと来てくれるかな。


とりあえずコーヒーを頼み、一口飲んだ。


手が震えて、カップがうまく持てなかった。



どれくらい待ったかわからないけど、


「お待ち合わせの一名様です」


「いらっしゃいませ」


という店員さんの声に反応して、出入口の方を見た。


竣くんは、前と変わらないTシャツにジーンズ姿で歩いてきた。


前と違うのは、黒髪になったことと、少し大人っぽくなったこと。


そして、ますますかっこよくなっていたこと。


「ごめん、お待たせ」


「ううん、平気」


「失礼します、ご注文おうかがいします」


「コーヒーお願いします」


「かしこまりました」