真白が、クリームパンが好きだったから。
「……俺もなれるかなって思ったんだけどな」
「は?」
「王子様ってやつ」
美音には『なにそれ、くっさ』と真顔で言われてしまったけど
ハハッと笑って誤魔化した。
……昔から
凛の王子様は、真白だった。
凛は言っていた。
『真白くんは王子様みたい!』と。
ずっとずっと
俺もなりたいなって、思ってた。
真白になりたいと思った。
でも、そんなものは無理だってわかってる。
『悠里くんはね、
私を守ってくれる騎士さま!』
笑顔で紡がれた言葉に、打ちのめされたんだから。



