矢代くんの本気の恋




席に着くと、嫌でも視界に入る。



悠里くんの席は…私の前だから。



小学生の時とは違う、広くて大きな背中。



いつの間にか、悠里くんの背中しか見れなくなっていた。



悠里くんと



向き合って話すことは、もうほとんど出来やしない…。




「なぁ」



「……えっ?」




突然低い声が聞こえて顔を上げると、



何故か、悠里くんと目が合った。



……えっ、なんで…




「ごめん。呼んだの、
後ろのやつ」




悠里くんが気まずそうに私の後ろを指さした。



私の後ろに立っていた男の子に話しかけてたんだ…!?



私だと思って返事しちゃった…



だから悠里くんこっち見てたんだ…恥ずかしい…!




「ご、ごめん、矢代くん…」



「…………あー…
俺も紛らわしくてゴメンね」




わざとらしく、『矢代くん』って呼んだ。



それでも、



何も言わない悠里くんは、私のことなんて微塵も気にしてないんだろう。