矢代くんの本気の恋




「ちょっとちょっと凛!
なに悠里に話しかけてるの!?」




走ってきて、私の肩をガッと掴んで美音は言った。




「え…だ、だって…」




昨日、友達になったはずなのに…。




「悠里と仲良かったのは昔のことでしょ!?
今はもう嫌われてるんだよ!?」



「……嫌ってるわけじゃ…」




ないと思う……けど、



今の美音は怒ってて、何を言っても否定される気がした。




「……ごめん」



「……あたしも言いすぎた、ごめん」




どこか、悔しそうな表情を浮かべて



美音は走って先に行ってしまった。



その背中を見つめていると、隣に真白くんが並んだのがわかった。




「……美音、なんであんなに怒ったんだろう…」



「……なんでだろうね…」




真白くんも、美音の態度の意味がわからないみたいで、



心配そうな表情を浮かべた。