矢代くんの本気の恋




『送ってほしいなって言うんだぞ』



悠里くん。



それを言うべきなのは、



美音の方だと思うから、



私は言わないよ。











「おっす!悠里おっす!」



「何その挨拶」




校門をくぐったとき、



前に悠里くんが歩いてて、友達に話しかけられていた。



悠里くんやっぱり、同じ電車なのかな?



……よし、私も



挨拶、しよう…!




「凛?」




突然駆け出した私に、美音の不思議そうな声が届く。



いつもの感じだと、悠里くんは女の子たちに囲まれるから、



まだ囲まれてない今のうちに、挨拶を…!!




「悠里くん、おはよう!」




ポンと後ろから肩を叩くと、悠里くんはゆっくり振り返る。



悠里くんも『おはよう』って笑って返してくれると思ってたのに。




「……」




一瞬、後ろにいる真白くんたちを見ると、



無言で先に行ってしまった。



……あれ。



怒っ…てた?