ははっ、と乾いた笑いをもらす悠里くん。
美音や真白くんのことは、ハッキリと否定出来なかった。
……二人が
今の悠里くんをあまり良く思ってないのは、きっと事実だから…。
「真白は特に、
俺のこと嫌いだろうし」
「真白くんは優しいよ。
悠里くんのこと嫌いなんて、あるわけないよ」
「さぁ、どうだろうね」
そこで会話を終えるように息をはいて、ベンチの背もたれにもたれかかった悠里くんは
思い出したように、ポケットから袋を取り出した。
「あ、やべ、
ちょっと潰れたかも」
「?」
「ドーナツ。食べる?」
ポケットに無理やり押し込んでいたからか、取り出された袋はしわくちゃで、
中のドーナツは……
一個は潰れて、もう一個はまだドーナツの形を留めていた。
「……潰れた方は俺が食うから」
悠里くんは潰れたドーナツを取ってそれを頬張ると、
もう一つのドーナツを袋ごと、ん、と渡してきた。



