矢代くんの本気の恋




悠里くんは私の手をぎゅっと握って。




「俺は、
“悠里くん”って呼んでほしい。

……“凛”に」



「……!」




悠里くんが



私のこと、凛って呼んだ。



『吉川ちゃん』



もう、呼んでもらえないと思ってた。




「うん、呼ぶ…!
悠里くん…!」



「……!」




今度は私が、悠里くんの手を握った。




「コラコラ、
男の手をそんな簡単に握るんじゃありません」



「……ごめんなさい…!」




パッと手を離すと、悠里くんは私の隣に腰かけた。