「……あ、当たり前だよね!
彼女いたらお泊まりとか、あるだろうし…」
「……うん」
「……ごめんなさい。
私が矢代くんのプライベートに踏み入ってしまって…」
目元を隠すように、前髪を必死におろす。
……なんだこれ。
私は、悠里くんの彼女でもないくせに、
なんでこんなに……寂しくなるんだろう…。
「ご、ごめんね、
私もう帰る…!」
「え、ちょっ…」
「シナモンドーナツ、
2つとも食べていいから」
悠里くんの顔も見ず、
私は急いで家を出た。
「待っ……
……凛!」
悠里くんの、止める声が聞こえた気がしたけど、
扉が閉じて、最後まで聞こえなかった。



